モーリス・ルブラン『カリオストロ伯爵夫人』 若き日のアルセーヌ・ルパン(=ラウール・ダンドレジー)は、恋人のクラリスの父親ゴッドフロワ・デティグ男爵とその仲間がカリオストロ伯爵夫人ことジョゼフィーヌ・バルサモを処刑しようとする場面を目撃する。ラウールはすんでのところで彼女を救出し、ラウールとジョゼフィーヌは恋に落ちる。平底船ノンシャラント号で甘い時間を過ごす二人だったが、… 気持玉(0) コメント:0 2022年03月10日 続きを読むread more
三橋一夫「不思議な帰宅」 『新青年』研究会編の『「新青年」名作コレクション』。待望の一冊である。三橋一夫が稲村九郎名義で発表した「不思議な帰宅」という掌編が採録されている。『新青年』は昭和24年3月号に掲載。『新青年』の最後の頃の作品。本当に短い作品だが、ミステリとしての骨格はきちんと備えている。むしろ、ミステリという骨格は、用い方によれば、こんなに悲しい物語を… 気持玉(0) コメント:0 2021年05月16日 続きを読むread more
横溝正史「物言わぬ鸚鵡の話」 『新青年』昭和13年10月の「疑問符くらぶ」と題した奇譚集として発表された、阿部鞠哉名義の横溝作品。 大正末期の神戸を舞台にした掌編。 友人から送られた、舌を切られた鸚鵡の謎を調べてみたら、思わぬ犯罪に巻き込まれそうになった話。 掌編でありながら、結構、ダークな内容を描いている。今でなら、ノワールの掌編と言っても遜色のないような、… 気持玉(0) コメント:0 2021年01月19日 続きを読むread more
高木彬光「月世界の女」 高木彬光の「月世界の女」。密室状況のホテルのロビーから忽然と消失した美女の謎を描いた短編。昭和24年9月『新青年』初出。もちろん『竹取物語』を下敷にした求婚難題譚で、本格ミステリ。高木作品の中でも初期のもののよう。短いが、しっかりした作品。オチはある程度、読めるんだけど、混ぜ方が上手いなあと思う。ただ、本来ならば月子は、神津恭介と結婚す… 気持玉(0) コメント:0 2021年01月17日 続きを読むread more
神戸登「無人列車」 原稿用紙3枚ほどの掌編だが、なかなか面白い。 恐らく小説史上でも珍しい登場人物というか、語り手というか。 無くはないんだろうが、扱い方が珍しいのだと思う。 初出は、昭和30年頃の『デイリースポーツ』の日曜版とあるが、これは探すのが難しいのかもしれない。 鮎川哲也の解説で気になるのが、日和登「やくも」、今津武男「広島発20時13分… 気持玉(0) コメント:0 2021年01月03日 続きを読むread more
水上呂理「精神分析」 中島河太郎編の『新青年傑作選 君らの狂気で死を孕ませよ』に収録。『新青年』昭和三年六月号初出。水上呂理の処女作かつフロイトの精神分析を取り入れようとした画期的な作品。 精神病を専攻する、大学の助手・青柳の友人である翠川(経済科の助教授」の周囲で起こる不思議な事件の謎を解く話。 第一の事件は、翠川の手元に置いてきたはずの縁談相手の写真… 気持玉(0) コメント:0 2020年11月22日 水上呂理 1928年 続きを読むread more
香山滋「オラン・ペンデクの復讐」 河出文庫のKAWADEノスタルジック探偵・怪奇・幻想シリーズの新刊で、香山滋の『海鰻荘奇談 香山滋傑作選』が日下三蔵編で刊行された。 冒頭に「オラン・ペンデクの復讐」が収録されている。 「オラン・ペンデクの復讐」は、『宝石』1947年4月号。 香山滋のデビュー作。 スマトラ島で新人種オラン・ペンデクを捕獲しようとした東… トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2017年11月26日 1947年 香山滋 続きを読むread more
香住春吾「見合令嬢」 五年ぶりに書きます。 以前とは、少し形式を変更して。 論創社の論創ミステリ叢書の12月刊行分は、93の『香住春吾探偵小説選Ⅰ』でした。 冒頭は、ユーモア・コント「見合令嬢」。 1948年3月号『新青年』に香住春作名義で発表された作品で、単行本初収録とのこと。 ほんの数ページのショートショートともいえる作品だが、なか… トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2016年01月24日 香住春吾 1948年 続きを読むread more
首無の如き祟るもの/三津田信三 これもまた、メインのブログに載せた文章の再録(多少、手直ししました)ですが、整理の都合上アップします。 三津田信三の『首無の如き祟るもの』原書房 【あらすじ】 東京の奥多摩地方の媛首(ひめかみ)村に代々続く、秘守(ひかみ)一族の次期当主の花嫁を選ぶ伝統的な儀式「婚舎の集い」において、殺人事件が勃発した。 … トラックバック:1気持玉(0) コメント:0 2010年02月13日 2007年 三津田信三 続きを読むread more
リベルタスの寓話/島田荘司 これも『本格ミステリ・ベスト10 2008』のレビューの書き直しですが、整理の都合上こちらにアップしておきます。 自分の書いた原稿ですし、『本格ミステリ・ベスト10 2008』自体も、もう書店には置いていないことが多いので、問題ないと思います。 島田荘司『リベルタスの寓話』講談社、2007年10月5日、2800円 … トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2010年02月13日 島田荘司 2007年 続きを読むread more
犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題/法月綸太郎 以前にメインのブログに書いたものの焼き直し(ほんの少し書き直しました)ですが、整理の都合上、こちらにアップしておきます。 『犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題』(光文社、838円) 2008年1月25日刊。 作者と同名の探偵・法月綸太郎の活躍を描く本格ミステリの短編集。 黄道十二宮の星座のうち半分、牡牛座から乙女座… トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2010年02月13日 2008年 法月綸太郎 続きを読むread more
扉守/光原百合 非ミステリ作品なのですが、少し前に読んだ本で、光原百合の『扉守』(文藝春秋、1524円)というのがあります。 実はこれ、広島県の尾道という町を舞台にした連作短編小説集です。 ジャンルでいえばファンタジー。 尾道の町は、古くは林芙美子の小説に描かれ、僕の子供時代には大林宣彦の映画で舞台にされ、行ったことのない… トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2010年02月07日 2009年 光原百合 続きを読むread more
水魑の如き沈むもの/三津田信三 少し前に、三津田信三『水魑(みづち)の如き沈むもの』(原書房、1900円)を読了しました。 1月の末になって、やっと今年の読書(2009年11月以降発売の新刊ミステリを読む意)を始められたような体たらくです。 「圧倒的な面白さ」でした。 小説をこんな風に貪るようにして読んだのは、久しぶりかも知れません。 … トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2010年02月06日 2009年 三津田信三 続きを読むread more
悪魔が来りて笛を吹く/横溝正史 半年近く放置してしまいました。 古い作品で申し訳ないのですが、整理のため。 【あらすじ】 昭和二十二年九月二十八日、大森の「松月」に滞在する金田一耕助のところに二十歳前後の若い女性・椿美禰子が訪れた。 彼女は、その年の春に世間をにぎわした天銀堂事件の容疑を受けて失踪し、信州の霧ヶ峰で遺体が発見された元… トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2009年05月21日 横溝正史 1953年 続きを読むread more
チェーン・ポイズン/本多孝好 本多孝好『チェーン・ポイズン』(講談社、1600円)です。 【あらすじ】 主人公は36歳の独身女性。 16年前、普通の女子大生だった彼女は普通に大学を卒業して、普通に就職し、普通に仕事をして、普通の36歳のOLになっていた。 しかし、気づいた時には、個性の無い、孤独で未熟な「私」がそこにいるだけだった。… トラックバック:0気持玉(1) コメント:0 2008年11月22日 2008年 本多孝好 続きを読むread more
女王国の城/有栖川有栖 わが身の至らなさも『世界がアンフェアだからだ』と自己弁護できる人任せの社会は、責任も人に投げ返す 有栖川有栖『女王国の城』(東京創元社)です。 『本格ミステリ・ベスト10 2007』(原書房)の第1位の作品。 東京創元社から出ている学生アリス・シリーズの第4作目。 【あらすじ】 英都大学… トラックバック:1気持玉(0) コメント:2 2008年11月16日 2007年 有栖川有栖 続きを読むread more
インシテミル/米澤穂信 昨年の本格ミステリ・ベスト10では第4位の作品で、米澤穂信の『インシテミル』(文藝春秋、1600円)という作品があります。 【あらすじ】 バイト情報誌に時給11万2000円の「モニター募集」が掲載される。 主人公の結城理久彦とヒロインの須和名祥子ほか十人が、そのモニターに選ばれて、山中にある〈暗鬼館〉に集結… トラックバック:0気持玉(1) コメント:0 2008年11月10日 2007年 米澤穂信 続きを読むread more
狩人は都を駆ける/我孫子武丸 我孫子武丸の『狩人は都を駆ける』(文藝春秋、1333円)という短編集があります。 舞台は京都。。。 【あらすじ】 動物嫌いの私立探偵「私」のもとに、同じビルで動物病院を経営している沢田からペット関連の調査依頼が持ち込まれる。 「私」は「猫探しならやらんぞ」というポリシーをいちおうは持っているものの、何… トラックバック:1気持玉(0) コメント:0 2008年11月09日 2007年 我孫子武丸 続きを読むread more