首無の如き祟るもの/三津田信三

これもまた、メインのブログに載せた文章の再録(多少、手直ししました)ですが、整理の都合上アップします。

三津田信三の『首無の如き祟るもの』原書房


画像



【あらすじ】
東京の奥多摩地方の媛首(ひめかみ)村に代々続く、秘守(ひかみ)一族の次期当主の花嫁を選ぶ伝統的な儀式「婚舎の集い」において、殺人事件が勃発した。
当主の長男・長寿郎の花嫁候補三人のうちの一人が首無し死体で発見される。
しかも、現場からは長寿郎の姿も消えてしまうのだが、儀式の行なわれた山は、密室状態で、謎は深まる一方である。
秘守一族は、いがみ合う三つの家が跡目を争っており、混乱が続く中、第二、第三の首無し死体まで発見されるのだ。
古くから、秘守家を祟り続ける淡首(あおくび)様の怨霊の仕業か、それとも、巧妙なる連続殺人か……
首無し死体、四重の密室、男装の麗人、淡首様の祟り、謎の妖怪・首無しなど、本格ミステリファンだけでなく、ホラーファンも楽しめる要素がいっぱいのホラー系本格ミステリの傑作。


【感想】
まず、やっぱり嬉しいのは、地方の旧家の因習に囲まれた土俗的な世界観。

そして、もう一つ。戦後の探偵小説文壇の探偵小説ブームと世界観を接続させてくれているところも、ファンには嬉しいところです。

探偵小説通でない人には、とにかく首無し死体がゴロゴロ出てくるところを楽しんでもらえるといいかな、と思います。

これでもか、という具合に、首が切断されます。
しかも、探偵小説においてはつねに、「なぜ切断されなければならなかったのか?」という命題があります。
それに対して、新しい解ではないのだけれども、いくつかを見事に複合させ、ひねってひねって、ひねりまくっているところに、この作品の魅力があります。

事件の真相を知った時、思わず「見事」と思いました。

本当に上手いです。

結末の二転三転(もっと)する、どんでん返しの連続にもびっくりさせられますし(ちょっとあざといかな? とも思ったのですが、ラストの結末で納得しました)、何よりも、「たった一つのある事実に気づきさえすれば」事件の謎が解けてしまう、というところがよくて、実際に探偵役の刀城言耶がそれを指摘したことによって、ぱたぱたぱたと謎が解けてゆく心地よさは、まさに本格の醍醐味といった感じでたまりません。

私は、すっかり騙されてしまいました。

そして、ラストはホラーの味も、もちろん出ています。

『水魑の如き沈むもの』の方にも書きましたが、このシリーズの結末をどのように考えるかについては、結構重要な問題なのかもしれません。

単にホラー的要素という一言で済ませることができない、何かがあるのかもしれません。


考えすぎかもしれませんが、表紙の絵が横溝正史の『本陣殺人事件』(杉本一文・絵)の逆になっているのかな、なんて思いました。



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