香山滋「オラン・ペンデクの復讐」

河出文庫のKAWADEノスタルジック探偵・怪奇・幻想シリーズの新刊で、香山滋の『海鰻荘奇談 香山滋傑作選』が日下三蔵編で刊行された。

冒頭に「オラン・ペンデクの復讐」が収録されている。
「オラン・ペンデクの復讐」は、『宝石』1947年4月号。
香山滋のデビュー作。

 スマトラ島で新人種オラン・ペンデクを捕獲しようとした東京T大学の宮川博士は、オラン・ペンデクではなく、さらなる新人種オラン・ペッテを捕獲したと学会発表し、発表を終えた直後に変死した……というお話。


UMAをめぐるSFの早い時期の作品かと思いきや、二転三転するプロットに、なるほど探偵小説だと納得させられる。

しかも、結末は植民地主義批判にも接続されうる文明批判、科学批判。
その批判の刃は、発表から70年経った2017年でも切れ味が冴えわたっている。

果たして私たち人間(=現在、人間とされている種)だけのために地球を回していてよいのだろうか。
私たち人間は、あまりに地球を自分たちだけのものにしてしまっていないだろうか。
その自己反省もしくは自己批判がなければ、私たちは〈オラン・ペンデクの復讐〉を受けることになるだろう。

ただし、本作の科学批判は、謎を解くことに対する批判をも含みこんでおり、実は探偵小説批判にもつながってゆく。そのことを作者が気づいていたかどうかはわからない。


作中にも記述があるが、ドイルの『ロスト・ワールド』にどれだけ影響を受けたかについては、今後の課題。

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